知られざるアニメーション 線と色の即興詩

知られざるアニメーション

短編アニメーション作品と作家の紹介、アニメーション映画祭情報。

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線と色の即興詩


Blinkity Blank(1955/5分 15秒)

 マクラレンが「NORMAN McLAREN The Master's Edition」に収録されているあるインタビューの中で「どうして『鳥』のモチーフをよく使うのか?」と聞かれ、答えに困りながら、人間より関節がシンプルで、うんぬん...と無理して答ていたが、僕もたまに「どうして魚がよくでくるのですか?」とか質問されてこまる事がある。いろいろな必然から登場させてるのだと思うが、ほんとの所は「たまたま」としか言いようがない。果たして質問者はどんな答えを期待してるのだろか?
 確かにマクラレンの作品には鳥や卵がよく出てくるが、これはマクラレンに限った事ではないし、アニメーターは鳥や蝶や蝿を飛ばすのが好きな様だ。「線と色の即興詩」は赤と青の2羽の鳥のやり取りを中心に、抽象性を保ちながら独自の「モーション」を展開する傑作だが、別のインタビューでこの作品について、「はじめ1羽の鳥をいろいろ動かしていて、やがてすぐ飽きてしまって、2羽の鳥にする事を思いついて、そこから新しく展開が始まった」と話していたが、これはとてもシンプルな理由からアニメーションの「物語」が生まれた瞬間だと思った。
 このアニメーションは、日本では「シネカリ」と呼ばれる技法で作られていて、真っ黒に現像されたフィルムの乳剤を針などでエッチングのように削りだすことで、光の線を描き出す。80年代、8ミリフィルムでよく「シネカリ」を使ったアニメーションが作られていたが、個人作家へのこの作品の影響力は強い。
 数コマおきにまったくなにも描かない真っ黒なコマがあって、それが独自のタイミングと残像効果を生み出している。この事をブルーノ・ボシェットは、マクラレンの天才性の理由のひとつに挙げていたが、この効果、やはり「NORMAN McLAREN The Master's Edition」の別のインタビュ-のなかで、「いままでは、透明なフィルムにペンで絵を描く技法を度々使っていて、この場合はグリッドを当てる事で、前の絵との位置関係を見比べる事が出来るが、真っ黒なフィルムだとそれが出来ないし、一コマずつの境目も分かりにくいのでズレてしまう、だから数コマ飛ばして、アバウトな位置で動きが繋がる様に描いた」と言っていた。作っていく中で、仕方なく生まれた効果の様だ。これこそアナログで作る面白さ、スムーズにつなげて描くという自分の意志を材料の側から諦めさせられた所から生まれた新しさだ。所詮ひとの表現、思考なんてどんなに足掻いてもたかがしれている。勇気をもっていい加減に捨て身になる事は、モノツクリに大切な事だ。

本題とはまったく関係ありませんが、虫歯予防デーの今日は、43歳の誕生日でした。家族で恒例のケーキを食べました。うまかった。

NFB_Le merle 全編見れます。
NFB_Le merle 資料
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  1. 2007/06/04(月) 22:01:43|
  2. アニメーション作品
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  4. | コメント:1

コメント

遅くなりましたが、お誕生日おめでとうございます。

真っ黒なコマにはそんな理由があったのですね。
なんとも、素晴らしいエピソードだなあと思いました。

以前、大学で映画の先生から、アニメーションは全てをコントロール出来てしまい、実写映画のような偶然性がないように思うのだけれど、どうなのでしょう?と聞かれた事がありますが、このような作品を観ると、アニメーションならではの偶然性や作者の思考を超えた何かが生み出される可能性を感じる事が出来る気がします。
  1. 2007/06/05(火) 10:20:37 |
  2. 大山慶 #i4k.q35E
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