
(1943/16分/松竹)
日本のアニメーション史を語る上で欠かす事の出来ない傑作が、政岡憲三の「くもとちゅうりっぷ」です。原作は、尾道出身の作家、横山美智子の童話集「よい子つよい子」の中の一編で、政岡憲三が演出・脚本・撮影した。てんとう虫を蜘蛛の糸のハンモックに誘う蜘蛛と、そのてんとう虫を助けるチューリップとの顛末をミュージカル仕立てで優雅に描いている。歌うてんとう虫の愛らしさ、風や水滴など自然の描写など、今日の日本のアニメーションの力の源が、この作品に凝縮されている気がする。
■DVD くもとちゅうりっぷ---政岡憲三作品集---[Anido]
- 2006/07/10(月) 09:24:53|
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一昨日、白金台
spaceTRYで
ジャンルイジ・トッカフォンドの版画を買って喜んでいる。うちには作家から頂いたり、買ったりした版画や原画が数点ある。アニメーションの為に描かれた絵は何か特別な思いを感じ、眺めていると癒されたり刺激されたりする。

そういえば、
イーゴリ・コヴァリョフの原画展がオタワであった時に、ドローイングを買いそびれたのを悔やんでいる。買おうと最終日に画廊を訪ねたら、早めに閉店していたのだ。今度10月にイギリスのノーリッチ国際アニメーション映画祭(
Norwich International Animation Festival)で一緒に審査員をするので、その時ちょっとたのんでみようかな。
Flying Nansen 2000
そのイゴーリの2000年の作品、「フライング・ナンセン」。北極の冒険家を「男」の象徴として、狩猟、友情、戦い、女を描いていく。もっと高く、もっと遠くへ.... どのカットのフォルム、タッチも独創に満ちていて、自分のセンスに響く。自戒をこめて言うのだが、男ってどこかで「勝ち負け」を価値判断の基準や目標にしてしまう、愚かなところがあるのだが、この作品はダンディズムへの冷ややかな皮肉と愛情を感じる、「男」の映画。
■igor Kavalyov-Flying Nansen-全編(QuickTime Movie)[Global Tantrum]
- 2006/06/24(土) 12:42:46|
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Jumping 1984
ザグレブ国際アニメーション映画祭でグランプを受賞した一人称アニメーション「ジャンピング」。ハエの視点で全編描いたハンガリーのフレンツ・ロシェフ「
ハエ」を見て発想したそうだが、そこから手塚流にアイディアを膨らまし、オリジナリティある短編に仕上がっている。目の前の風景が少しずつ上下に揺れながら前進していく。次第にその高さが増して、いろいろな場所を旅して行く。最後までのジャンプしている主人公は画面に現れないが、声から小さい女の子だと推測される。途中途中にユーモアや戦争批判も織り交ぜながら、しかし、そのリズムのみで十分観客をワクワクさせる。アニメーションならではのマジカル・ビューを体感できる6分20秒だ。
■DVD 手塚治虫 実験アニメーション作品[Amazon]
■プレビュー[Tezuka Osamu World]
- 2006/06/08(木) 09:30:48|
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Broken down film 1985
第1回広島国際アニメーション映画祭のグランプリが、手塚さんの「おんぼろフィルム」で、その時学生として初めて国際映画祭を見に行き、このフィルムはとても印象に残っている。実存としてあるフィルムの傷や埃という物質性とフィルムの中のキャラクターの動きの虚構性とを共存させた実験的短編だ。
生前の手塚治虫さんには、見かけた程度も含め5回ほど会った事がある。もっとも印象に残っているのは、手塚さんが最後の公式の場に出られた、上海国際アニメーション映画祭だ。すっかり痩せて別人の様だった。手塚さんと一緒の当時かなり豪華なホテルに、コンペのゲストとして僕と妻も泊まっていた。朝から円卓を囲んだ豪華な中華が出たが、手塚さんだけ食べられないのでサンドイッチが用意されていた。しかしそのサンドイッチも食べられず、ちょうど隣にいた僕の奥さんに「食べます?」とすすめてくれた。
手塚さんは、アニメーションの研究のために沢山のアニメーションフィルムを持っていたので「うちにもこんなおんぼろフィルムが沢山ある。」とNHKで話していたのを覚えている。今やフィルムで制作したり、フィルムでの上映を見る機会も減ってきたので、「おんぼろフィルム」の中のギャグにピンとこない人も多いのでは?と心配になる。しかし実験性と娯楽性のバランスがとれたとても良い短編アニメーションだ。
■DVD 手塚治虫 実験アニメーション作品[Amazon]
■プレビュー[Tezuka Osamu World]
- 2006/06/07(水) 22:30:05|
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Getting Started 1979
ピアニストがなかなかピアノの練習に集中できない様子を、とてもリアリティーある描写で描いた
リチャード・コンディのカートゥーン。彼の作品はどれも飄々とした味わいがあって大好きなのだが、どのギャグや行動も笑いの為に作ったギャグではなく、(当然笑わせようとしているのだが)作為や無理が無い。日常の人々の行動の観察にもとづいた可笑しみなので、何度見ても面白い。
■作品データ[NFB]
- 2006/05/29(月) 08:43:06|
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Three Misses 1998
ポール・ドリエセンは、母国オランダとカナダを行ったり来たりして制作しているが、オランダで制作した作品の方が、のびのびとしていて、すこし毒もはらみながら面白い作品が多い気がする。音楽と効果音もオランダの方がいい。この作品のストリングスを使った音楽もとても好きだ。特にオランダでの効果音は、触覚と比重を感じさせて、とても気持ちいい。
アカデミー賞ノミネート作品「3人のおとめ」は、現代でビルから落ちる女性、お伽噺の世界のお姫様、西部開拓時代、線路に縛られている淑女の3つの世界のミセスの危機を助けるべく、隣のビルの男と王子様とカウボーイが行ったり来たりしながら、それぞれの時代が交錯していって、微妙なギャグを生み出して行く。本人もオランダとカナダだけではなく、ドイツで先生をしたり、サマーハウスが南仏にあったり、映画祭のゲストやらで、年中いろいろな場所を行ったり来たりしている。軽々と絵を動かしている感じは、一つの芸を見る楽しさがある。またドリエセンの特徴のひとつにスケールの違いをアイディアに取り入れる事が多い。「卵殺人(The Killing of an Egg)」や「ダビデ(David)」がそうだが、「3人のおとめ」でもそのパターンが使われている。
■Video Clips(QuickTime)[AWN]
- 2006/05/28(日) 11:05:24|
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Viola 1999
海底の木から作られた片手の椅子男と片足のダンサーの恋。彼女の髪型は、孤島に昇る月と同じ形の「C」。体が「MAN」の主人から、踊りを強要されているダンサーと、鑑賞を強要されている椅子男による舞台が毎夜繰り返される孤島での現代のお伽噺。もっとも孤独なのは、この「MAN」か?
この作品の作者でエストニアのホープ、プリート・テンダー(Priit Tender)からノルウェーで聞いた話「バレエの教師は、ヘビースモーカーが多い。タバコの火で脅してダンサーの足を高く上げさせる。映画的な光景だろ?」。いつも平気で嘘ばかり言うので、この話も彼の創作かもしれないが、「ビオラ」を見ると思い出してしまう。
■作品解説[Eesti Joonisfilm]
- 2006/05/09(火) 08:51:58|
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Fig(無花果)

アニメーション映画の誕生から100 年を記念して企画されたオムニバス・アニメーション「Tokyo Loop」が完成した。日本を代表する気鋭のアニメーション作家、美術家、漫画家、イラストレーターが「東京」からイメージした作品を競作。
「イメージフォーラム・フェスティバル2006」にて東京、京都それぞれ1回のみ上映されます。東京:5月4日19:30〜 会場:パークタワーホール/京都:5月21日14:30〜 会場:京都ドイツ文化センター。その後渋谷シアター・イメージフォーラムで劇場公開予定。
私のパートは、「絵が動く」というアニメーションの原点に立ち返って、なるべく技術的にシンプルにしたいと思い、効果の汚し以外、一枚の紙に背景もキャラクターも全てを一緒に描きました。主人公の「夜君」は、結構気に入っています。
TOKYO LOOP 35ミリ/75分/2006
音楽:山本精一/TOKYO STRUT 佐藤雅彦+植田美緒/トーキョー・トリップ 田名網敬一/釣り草 清家美佳/ゆきちゃん 大山慶/イヌトホネ しりあがり寿/公衆便女 束芋/トウキョウ 宇田敦子/BLACK FISH 相原信洋/アンバランス 伊藤高志/tokyo girl しまおまほ/声が出てきた人 和田淳/ニュアンス 村田朋泰/はしもと 古川タク/フンコロガシ 久里洋二/Fig(無花果) 山村浩二/12 O' Clock 岩井俊雄
■イメージフォーラム・フェスティバル2006
- 2006/05/02(火) 09:20:45|
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Cat's Cradle 1974

極限まで洗練したグラフィックスタイルで描く、
ポール・ドリエセンの寓話。ヘロデ王の虐殺を逃れて、ヨセフとマリアとイエスが逃げ込んだ洞窟のクモの糸からはじまって、アイディアやイメージがあやとりの様に形を変えて変化していく不条理な展開と、フレームワークの素晴らしさ。意味があるようでない所がいい。フィルムで見たときの鮮烈な色彩は忘れられない。
■作品解説(Video Clips)[NFB]
- 2006/04/28(金) 08:43:54|
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Dinner for Two 1996

2匹のカメレオンが、一匹のムシを巡って闘争をはじめると、ジャングルの平和は少しずつ乱される。その争いの行き着く先は...? 色鉛筆のドローイング・スタイルでコンスタントに良作を制作し続けている女性監督ジャネット・パールマン(Janet Perlman)がNFBで制作した「ディナー・フォー・トゥ」は、同居人でもあり、「
ある一日のはじまり」など多くのカナダ作品の音楽を手がける音楽家ジュディス・グルーバー=ステッツァー(Judith Gruber-Stitzer、彼女は「ある一日のはじまり」のブタさんのベースになった実写で演技もしている)による小粋なジャズ音楽と脇役のカエルのキャラクターのとぼけた演技で、説教臭くさりそうなテーマを心温まる作品に仕上げている。色彩も目に心地よく美しい。この作品は十年前私が初めて国際審査員をソウルで務めた時、グランプリに選んだ作品で個人的に思い出深い。
■作品解説(Video Clips)[NFB]
- 2006/04/27(木) 08:35:58|
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